ザビーネ・マイヤー事件について
2021年9月1日 当サイトにはプロモーションが含まれます1982年カラヤンとベルリン・フィル団員との間で生じた事件。
クラリネット奏者であるドイツ人のザビーネ・マイヤー(当時23歳/1959年生まれ)をカラヤンがベルリンフィルに強硬に入団させようとしたが、入団反対で決議した団員投票に従うべきだとする団員側とで確執が生じました。
両者は一歩も譲らず、一時はカラヤンがベルリン・フィルを去るかとも思われましたが、マイヤーは入団を自主的に辞退してソロクラリネット奏者として新たな出発をしました。それ以降楽員の採用権はオーケストラ側にあることを楽員側は確認しました。
この事件以降、カラヤンとベルリンフィルの関係は急速に冷えてしまったとも言われています。そして60年代から続いたカラヤンとベルリンフィルの黄金時代も終焉を迎うことになってしまったのです。
現在マイヤーはソロで活躍していますが、ソニークラシカルから販売されている1980年代前半に収録されたベートーヴェン交響曲全集では、正団員と共に演奏している姿を確認することができます。収録当時、マイヤーがプローベ中(試用期間)であったためでしょう。貴重なビジュアルです。
楽員たちの反対理由は、彼女の音色がベルリンフィルにそぐわないというものだったらしいですが、マイヤーが女性であったこともその一つとも言われています。それまでベルリンフィルの歴史の中で女性団員は一人もいませんでしたから。
名盤の一つであるベルリンフィル100周年創立記念コンサートは1982年の4月だったので、この事件の前であったのは幸いだと思っています。
最終的に彼女はベルリンフィルには入れなかったけれど、この一件で彼女の名前が世界中に広まったのは事実です。
こうした事件はあったものの、1983年、つまりこの事件の翌年ですね。この年に、ベルリンフィル初の女性団員が入団しました。第一ヴァイオリンのマデレーヌ・カルッツォです。ベルリンフィル創立後約100年してようやく女性団員の誕生です。その後は徐々に女性団員も増え、今はかなり多くの女性団員が在籍するようになりました。
なお、マイヤーはソリストとして独立したわけですが、後年ベルリンフィルとの共演(ニールセン:クラリネット協奏曲)も果たしておりますので関係はクリアになったと言ってもいいかもしれません。
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